”ものづくり日本”の一員として

日本というチーム力で乗り越える

 ものづくりの現場でこんな声を聞きます。「技術はあるのに販路がない」、「継承者がいない」、「価格競争で負けてしまう」…。日本のものづくりに対する世界の評価が変わったのはいつごろからでしょう。「失われた10 年」が「20 年」になり、気づくと国民は「誇り」まで失ってしまってはいないでしょうか。それはもしかしたら、旧態依然とした考え方ややり方から脱却することなく、受け身で仕事をして来た結果かも知れません。危機感や夢を慢性的に見失い、挑む勇気がなくなっているのではないか。また、世界を俯瞰で見ずに、近視眼的に隣の畑とばかり競争をして来た結果ではないでしょうか。小競り合いをしている間に、漁父の利さながら対岸からごっそり持っていかれた感は否めません。
 「ものづくり」というと製造業ばかりでなく、私たちのような編集業界もしかり。エディトリアルの文化や伝統を継承しながら、いかに新しい感性や技術で読者に感動を与えられるか、に真摯に取り組む日々です。小説や写真、漫画などのコンテンツが世界で高い評価を受けています。そんな彼らと切磋琢磨して、日本のものづくりに貢献したいと思っています。
 「現状維持は退化の元。より高いところを目指して、やっと現状維持程度にしかなれないものだ」。先人の言葉を細胞の隅々にしみ込ませ、私たちはそれぞれのフィールドでものづくりに挑むべきです。業界を超えた日本チームの一員としてさらに高みを目指し、「ものづくり日本」の誇りを取り戻したいと思っています。

伝統を継承し、新たな創造性を切り開く

 常にお客様は進化しています。新しい価値観を持ったお客様や、求められるものも多様になっています。発信は大事ですが、つくり手としてお客様や世の中が何を求めているかを探ることもとても大事な作業です。需要と供給のバランスは経済でも重要ですが、お客様のニーズとつくり手の技術のバランスこそ、マネジメントして行かねばならないところです。
 ものづくりをいかに成功させるか。それは、職人技はさらに磨き、クリエイティブを発掘し、お客様を探し、その問題解決をしてさしあげる。クリエイティブクラス(創造性に携わる人々)が経済成長のカギと唱える説もありますが、技術や勤勉なくしては成功しないと思っています。
 日本の伝統や、勤勉な国民という特性を今後も大事に継承し、新たな創造性を切り開いていかねばならないと思っています。

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